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3Dプリンターを買ってから、家の中にある「ちょっと不便だな」「もう少しこうだったらいいのに」と思うものを、自分で作れないか考えるようになりました。

収納用品や生活小物から始まったものづくりでしたが、今回作ったのは、書斎の窓辺に取り付ける猫用のステップ兼ベッドです。

完成品として冷静に見ると、まだまだ改善したいところはあります。表面にはサポート跡が少し残っているし、設計も今なら直したい部分があります。見た目だけでいえば、自己採点は75点くらい。それでも、あめちゃんが今ではほぼ毎朝ここで外を眺め、そのまま気持ちよさそうに寝ている姿を見ると、暮らしの中での満足度は100点だと思っています。

今回は、Fusion360初心者の私が、猫のための窓辺ベッドを一から設計し、実際に使ってもらえるまでの記録を書いてみます。

あめちゃんは、私の書斎にある窓から外を見るのが好きです。

もともとは本棚とキャビネットを窓の近くに置いていたので、その上でのびのび寝転がることができていました。

ところが、3Dプリンターを買い、昇降式デスクも導入したことで、書斎のレイアウトを変更。

窓の前には何も置かない配置になりました。すっきりはしたのですが、窓枠そのものの奥行きは約8cmしかありません。飛び乗ることはできても、横になってくつろげる広さではなく、あめちゃんもたまに乗るものの、すぐに降りてしまうようになりました。

それを見て、「この窓辺を、もう少し居心地のいい場所にできないかな」と思ったのが、今回のきっかけです。

市販の猫用窓ベッドを探したけれど、家の条件に合わなかった

最初から自作ありきだったわけではなく、市販品もかなり探しました。窓ガラスに吸盤で固定するタイプ、窓枠に引っ掛けるハンギングタイプ、壁にしっかり固定するタイプなど、選択肢はいろいろあります。

ただ、わが家にはどれも少しずつ合いませんでした。吸盤タイプはカーテンが閉めにくくなりそうですし、ハンギングタイプは引っ掛け部分が細く、5kgのあめちゃんがジャンプして飛び乗ることを考えると少し不安でした。壁固定タイプは安心感がありますが、大きな穴はできれば開けたくありません。

どれも悪くはないけれど、「これだ」と思えるものがない。そんな状態が続いた結果、「市販品に家を合わせるのではなく、この窓に合わせて自分で作ったほうが早いかも」と考えるようになりました。

Creality K2 ProとFusion360で、猫ステップを一から設計した

今回の猫ステップも、普段使っているCreality K2 Proで制作しました。収納用品や生活雑貨づくりにも使っている3Dプリンターで、大きめのものも比較的作りやすい機種です。生活用品や実用品を自分で作りたい人には、かなり使いやすい一台だと思います。

Creality

Creality K2 Pro

私が初めての1台に選んだ3Dプリンター。3Dプリンター未経験からスタートして、購入当日に最初の造形まで出力できました。「まず1台試してみたい」という人に。

  • 未経験からでも当日に造形できた
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3Dプリンターそのものを始めたときの話は、3Dプリンターって私にも使える?|買う前に知っておきたかった5つのことにまとめています。また、設計に使ったFusion360で最初につまずいた点はFusion360初心者が最初につまずいた5つのポイントに書いたので、あわせてどうぞ。

設計サイズは「幅18cm×長さ45cm」。窓枠8cmを活かして手前に拡張

今回作った棚は、窓枠の8cmを既存の支持面として活かしつつ、全体で18cm幅になるように設計しました。長さは45cmです。

本音をいえば、あめちゃんの体格を考えると、幅も長さももう少し大きくしてもよかったかもしれません。ただ、実際にはほぼ毎日使ってくれていて、寝る場所としては十分機能しています。

最初はT字構造を想定。最終的に三角ブラケット付きの形に

最初にイメージしていたのは、かなりシンプルなT字構造でした。窓枠の上に棚板を乗せ、その下を壁に沿わせて支える形です。

ただ、それだけでは強度面に不安がありました。猫は静かに乗るわけではなく、勢いをつけて飛び乗ります。そこで

ChatGPTと相談しながら構造を整理し、最終的にはT字に三角ブラケットを組み合わせた形に落ち着きました。
横から見ると、棚板・壁側の支持部・三角ブラケットで支える構造になっています。

45cmの猫ステップを3Dプリンターで作るには、分割設計が必須だった

今回、最初の大きな壁になったのはサイズです。Creality K2 Proの最大造形サイズは約30cm。

対して、今回作りたかった棚は長さ45cmあります。

そのままでは印刷できないため、最初から2分割以上を前提に設計する必要がありました。

接合部は、荷重がかかるほど噛み合う凹凸構造にした

真ん中で単純に切って接着するだけでは、猫が飛び乗ったときに接合部へ負荷が集中しそうでした。そこで、左右のパーツに凹凸を作り、はめ込んで接合する形にしました。

意識したのは、力のかかる方向です。荷重がかかったときに外れやすくなるのではなく、むしろしっかり組み上がる方向に力がかかるように考えました。こういう構造を自分で考えられるのは、既製品ではなく自作する面白さのひとつだと思います。

長さ45cmの棚を2分割し、中央を凹凸で接合する構造にしました。

強度・厚み・窓枠の凹凸処理。実用品を作る難しさを痛感した

今回難しかったのは、単に形を作ることだけではありませんでした。実際に使えるものとして成立させるには、考えることがいくつもありました。

厚くすれば安心。でも、厚すぎると材料も時間もかかる

市販の猫用ベッドは木材を使っているものが多く、棚板の厚みも2cm以上ある商品が珍しくありません。ただ、それをそのまま3Dプリントに置き換えると、かなり大量のフィラメントを使うことになります。

強度は欲しい。でも、必要以上に分厚くして材料を浪費したくはない。このバランスが本当に難しく、ここはかなりAI頼みでした。初心者の自分だけでは、耐えられそうな厚みの感覚がなかなかつかめなかったです。

窓枠は、見た目ほど単純な形をしていなかった

地味に大変だったのが、窓枠と壁の凹凸処理です。遠目にはまっすぐ見えても、実際に寸法を取ると、窓枠は微妙に出っ張っています。しかも、左側の縦のヘリと下側の横のヘリでは、壁からの出っ張り量が違いました。

今回は窓の左下に設置する想定だったので、その違いを吸収しながら、きれいに拡張できる形にする必要がありました。

数mm単位の調整ですが、こういう「家の実寸に合わせる作業」こそ、既製品にはない自作の世界だなと感じました。

窓枠の出っ張りに合わせて一部を欠き取り、この窓専用の形に設計しました。

いちばん苦戦したのは、印刷方向とサポート材だった

設計ができれば終わり、ではありませんでした。今回の形状はどの向きに置いてもサポート材が多く必要で、印刷条件の調整にかなり苦労しました。

造形途中で崩壊したのが3回。別の設定ではサポートが付きすぎて、表面が荒れ、接合部分にバリが残ってうまくはまらず、結局そのパーツは使い物になりませんでした。ヤスリで整える作業もかなり大変で、「手首が燃えそう」と思うほど削った記憶があります。

最終的には、正直なところ「なぜこの設定だけうまくいったのか完全には説明できない」という印刷条件でなんとか完成しました。表面を見ると今でもサポート跡が少し残っていますが、それも含めて今回は実用品として割り切っています。

今回使ったフィラメントはPLA。実際に使った材料も紹介

今回の猫ステップにはPLAフィラメントを使いました。生活用品を作るようになってから感じるのは、フィラメントは「何でも同じ」ではないということです。強度が求められるもの、見た目を重視したいもの、耐熱性が欲しいものでは、向く素材が変わってきます。

私が使っているのは、扱いやすくて発色もきれいなPLAフィラメント。もう6〜8回はリピートしている定番です。

PLAフィラメント

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PLAの設置環境について(正直な注意)

PLAは、熱や長期的な荷重でたわみ(クリープ)が出やすい素材です。今回は日当たりのいい窓辺という設置環境なので、夏の直射では変形が出ていないか様子を見ながら使っています。そして、もし変形が出たら作り直す前提で運用しています。強度が心配な場所や高温になる場所に長期間置くなら、PETGなど耐熱・強度に強い素材を選ぶ方が安心です。

もちろん、安全性は素材だけで決まるわけではありません。設計、厚み、インフィル、積層方向、接合方法、固定方法など、全体で考える必要があります。それでも、「今回実際に使ったもの」を紹介できるのは体験記事の強みだと思っています。

固定具は虫ピン式を12個使用。強度テストもしてから設置した

壁には大きな穴を開けたくなかったので、細いピンを複数刺して固定するタイプの金具を使いました。使用した固定具は合計12個です。理論上の耐荷重だけを見ればかなり余裕がありますが、実際には壁材や力のかかり方で条件が変わるため、かなり余裕を持たせて設計しました。

また、荷重がすべて壁に集中しないよう、窓枠そのものにも8cm分を載せる構造にしています。壁だけで支えるのではなく、窓枠側にも受けてもらう設計です。

設置前は、5kgの米袋を投げてテストした

完成したからといって、いきなりあめちゃんを乗せるのはさすがに怖かったので、まずは手で押し、揺らし、そのうえで5kgの米袋を投げてテストしました。(あめちゃんの体重は5.2kg。)

少し乱暴ですが、猫が飛び乗るときの衝撃をイメージした確認です。

それでも微動だにしなかったので、「これならいけそう」と判断しました。

完成してもすぐには使ってくれなかった。でも、数週間後にお気に入りに

強度確認も終わり、いよいよあめちゃんに使ってもらおうと、最初は抱っこしてそっと乗せてみました。ところが、反応はまさかの拒否(涙)。

気に入らなかったか、、、と笑ってしまいました。

それでもそのまま設置し続けていたところ、天気のいい日に前足だけ乗せるようになり、次第に全身で乗るようになり、3〜4週間ほど経った頃には完全にお気に入りの場所になっていました。

今では朝になると、この窓辺ベッドから外を眺めるのがルーティンです。

そのまま気持ちよさそうに寝始めることもあり、見ているこちらまで嬉しくなります。

自作の猫ステップを作って分かった、暮らしに合わせて作る面白さ

今回の猫ステップを製品として見れば、正直まだ改善点はあります。やすりで一通りきれいにはしましたが、サポート跡は残っているし、サイズも今ならもう少し見直したいです。

もしVer.2を作るなら、全体を少し大きくして、ヘリももう少し高くしたいと思っています。手足をはみ出して寝ている姿を見ると、寝返りしたときに少しヒヤッとするからです。

とはいえ、深くしすぎると今度は窓との境界や開閉との干渉を考えなければいけません。単純に「大きくすれば正解」でもないところが難しくて、同時に面白いところでもあります。

 

今回いちばん大きかったのは、「合う商品がない」で終わらなくなったことです。

3Dプリンターを買う前なら、この窓を見て「ちょうどいい猫ベッドが売っていないな」で終わっていたと思います。でも今は、「じゃあ作ればいいか」という選択肢があります。

もちろん、簡単ではありません。

何度も失敗したし、フィラメントも無駄にしたし、ヤスリがけで手首も痛くなりました。完成した直後には猫にも拒否されました。それでも、自分で設計した場所で、あめちゃんが毎日気持ちよさそうに過ごしている姿を見ると、市販品を買ったときとは少し違う満足感があります。

家に暮らしを合わせるのでもなく、商品に暮らしを合わせるのでもなく、自分たちの暮らしに合うものを自分で形にする。3Dプリンターを買ってからいちばん楽しいと感じているのは、もしかするとこの感覚なのかもしれません。

ものづくりが得意だからできる、という話でもないと思っています。私自身、Fusion360はまだまだ勉強中です。それでも、「ここ、もう少しこうだったらいいのに」と思ったときに、「自分で作れるかも」と考えられるようになった。それだけで、家の中の見え方が少し変わりました。

これからも暮らしの中の小さな改善点を見つけたら、少しずつ形にしていきたいと思います。