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「副業を始めたら、インボイス登録って必要なの?」
個人事業を始めると、確定申告や開業届と一緒に出てくるのが「インボイス」という言葉です。
私自身も副業で個人事業主として仕事をしていて、2022年11月に適格請求書発行事業者の登録をしました。でも、最初から「絶対にインボイス登録しよう」と考えていたわけではありません。
きっかけは、とてもシンプル。取引先から「今後インボイス制度が始まるので、登録してください」と案内されたからです。
当時はフランチャイズ店舗を経営していましたが、その後FC事業を売却。会社員をしながら副業の個人事業を続け、現在までさまざまな形で仕事をしてきました。
そんな私が今振り返ると、副業や個人事業を始めたからといって、全員が急いでT番号を取る必要はないと思っています。一方で、法人と継続して取引するのであれば、必要になったタイミングで取得することに、そこまで身構えなくてもいいとも感じています。
この記事では、「そもそもインボイスって何?」「どんな人が登録を考えればいい?」「登録すると何が変わる?」「実際、手続きや確定申告は大変だった?」というところを、私自身の経験を交えながらまとめます。
ご注意
税務上の取扱いは事業者ごとに異なります。この記事は私個人の経験をもとにしたもので、個別の税務判断については税務署や税理士などの専門家へご確認ください。
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Toggleインボイス制度とは?個人事業主にも関係する仕組み
まず、「インボイス登録した方がいいの?」を考える前に、そもそもインボイス制度が何なのかを簡単に整理しておきます。
インボイス制度は、正式には「適格請求書等保存方式」といいます。2023年10月1日にスタートし、買い手が消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として一定の要件を満たした帳簿や適格請求書などを保存する必要があります。そして、この適格請求書を発行できるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」です(国税庁)。
……と言われても、個人で仕事を始めたばかりだと、かなり分かりにくいですよね。ものすごくざっくり言えば、法人などがあなたに仕事を発注してお金を支払うとき、相手側の消費税処理に関係してくる仕組みだと考えると分かりやすいと思います。
T番号とは?
インボイス登録をすると、適格請求書発行事業者として登録番号が付与されます。これが、いわゆる「T番号」。請求書などに、T+13桁の数字として記載されている番号です。
取引先から「インボイス登録番号を教えてください」「T番号ありますか?」と聞かれたときに伝えるのが、この番号です。
インボイス登録すると、免税事業者でも消費税の申告が必要になる
ここは、登録する前に絶対知っておいた方がいいポイントです。
個人事業主は「売上1,000万円」という数字をよく耳にしますが、実際の消費税の納税義務は基準期間や特定期間などによって判断されるため、単純に「今年の売上が1,000万円以下だから絶対に免税」と決まるものではありません。
そして重要なのが、適格請求書発行事業者として登録している事業者は、基準期間などの課税売上高にかかわらず、免税事業者にはならないということです(国税庁)。
つまり、「とりあえずT番号だけ取っておこう」ではなく、インボイスに登録する=消費税を申告・納税する側になるというところまで理解して判断した方がいいと思います。
私が2022年にインボイス登録した理由
私がT番号を取得したのは、2022年11月。インボイス制度が始まる少し前でした。
登録した直接のきっかけは、取引先から「今後インボイス制度が始まるので登録してください」という案内が来たことです。強制的なニュアンスがあったわけではなく、事務連絡に近いものでした。それでも私は、特に抵抗なく登録することにしました。
売上を増やすためではなく、継続して取引するため
当時の私は、フランチャイズ店舗を経営していました。ただ、FC経営を経験して一番強く感じていたのが、小売店舗の売上って、自分では本当にコントロールしきれないということでした。
そのため、この頃は「この事業をどんどん拡大していこう」と考えていたというより、これから自分は、どんな働き方・事業に方向転換していくべきかを考えていた時期でした。だから、私にとってインボイス登録と「事業拡大」はあまり関係ありません。
登録した理由として大きかったのは、法人との取引を続けやすくすること/取引上の信用を損なわないこと/相手側の経理処理を面倒にしないこと。この3つでした。
「インボイス登録したら仕事が増える」とは思っていませんでした。ただ、これからも個人事業主として仕事を続けるのであれば、取引先から必要と言われたものを用意しておいた方が、仕事はスムーズだろうと考えたんです。
実際、T番号を求められる機会はそれほど多くなかった
では、インボイス登録してから頻繁にT番号を使ったのかというと、そうでもありませんでした。
私の記憶では、A8.netでアフィリエイターとして登録したときや、クラウドワークスなど、一部のサービスで登録番号について入力・確認する場面がありました。ただ、それ以外の仕事では、T番号を求められる機会はそれほど多くありませんでした。
会社員として勤めながら個人事業主で事務代行の仕事を副業でしていた時期もありますが、私の顧客である事務代行の会社はまだ事業規模が小さく、外部の個人事業主全員にT番号を求めるような運用ではありませんでした。
つまり、少なくとも私の場合は、T番号を取得したからといって、毎日のように番号を使うわけではなかったというのが実態です。
もし取引先から求められなかったら、私は登録していなかったと思う
今振り返って、「取引先から何も言われていなくても、自分からインボイス登録していた?」と聞かれたら、答えはたぶんNOです。
当時、必要と言われていなかったら、自分から急いで登録することはなかったと思います。インボイス登録をすると課税事業者になる以上、必要性がないのであれば、わざわざ自分から納税や申告の負担を増やす理由もありません。
ただし、今もしクライアントから「インボイス登録番号をお願いします」と言われたら、私はおそらくまた登録すると思います。私の場合、登録そのものに費用がかかったわけでもなく、手続きも想像していたほど大変ではなかったからです。
インボイス登録は思っていたより簡単だった
実は、登録する前は結構身構えていました。当時、周りのFCオーナー仲間から「インボイス対応どうしよう」「税理士に頼んだ方がいいかな」といった話を聞くこともあり、税金の制度となると、それだけで難しそうに感じます。私自身も「面倒なのかな……」と思っていました。
ところが、実際にやってみると拍子抜けするくらいでした。現在も適格請求書発行事業者の登録申請はe-Taxで作成・提出でき、書面を税務署へ持参する必要はありません(国税庁)。私もオンラインで手続きをしたので、税務署へ行く必要はありませんでした。「あれ、これで終わり?」というくらいの感覚です。
会計freeeを使っていたので、登録後の経理もそこまで大変ではなかった
そして、私がインボイス対応をあまり負担に感じなかった理由として大きかったのが、もともと会計freeeを使っていたことです。
私はインボイス制度が始まる前から、個人事業の経理や確定申告にfreeeを使っていました。そのため、T番号を取得したあとも、「インボイスになったから会計方法を全部作り直す」という感覚はありませんでした。私自身の体感では、確定申告で確認する項目や設定が少し増えたくらい。少なくとも、「税理士さんに全部お願いしないと無理!」というほどではありませんでした。
もちろん、これは私がfreeeを使っていたことや、事業内容が比較的シンプルだったことも大きいと思います。現在のfreee会計も、インボイス制度に対応した税区分や適格請求書に関する設定などを用意しています。また、freee請求書では適格請求書発行事業者の登録番号を設定し、インボイス制度に対応した請求書を作成できます(freeeヘルプセンター)。
日々の収支管理から確定申告まで同じサービスで管理できたのは、個人事業を続けるうえでかなり助けになりました。開業後の会計をまとめて管理したい人には、選択肢のひとつとして。
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開業届の提出から青色申告まで、私はこれ1本でやってきました。簿記の知識がなくても回せます。
- 銀行・カードと同期して自動で仕訳
- 複式簿記を意識せずに帳簿ができる
- e-Taxまでそのまま進められる
副業・個人事業主はインボイス登録した方がいい?
ここまで私の経験を書いてきましたが、「じゃあ結局、私は登録した方がいいの?しなくていいの?どっち??」と思いますよね。私は、副業を始めたら全員とりあえず登録、とは考えていません。むしろ、自分が誰からお金をもらっているのかを考える方が重要です。
個人のお客さんが中心なら、急いで登録しない選択肢もある
たとえば、ハンドメイド作品を個人のお客さんに販売する。個人向けにサービスを提供する。ブログやSNSを小さく始める。こうした副業で、取引先から登録番号を求められていないのであれば、「副業を始めたから」という理由だけで急いで登録する必要があるのかは、一度考えてみてもいいと思います。登録すると消費税の申告・納税が関係してくるからです。
法人との取引があるなら、相手に確認してから考える
一方で、法人から業務委託を受ける・企業案件を継続的に受注する・取引先からインボイス番号の提出を求められる。こうした働き方なら、一度検討する価値はあると思います。私自身もまさにこのパターンでした。
特にBtoBでは、自分だけではなく相手側の経理処理にも関係するため、「自分は税金を払いたくないから」だけでは決めにくい部分があります。だから私は、まず取引先に求められてから考えるのでも、十分だと思っています。
2026年現在は「2割特例」の終了時期にも注意
インボイス登録を検討する人は、税負担を軽減する経過措置についても確認しておきたいところです。
免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者になった場合に利用できる「2割特例」は、2026年9月30日までの日が属する課税期間が対象です。また、一定の個人事業者については、2027年分・2028年分の課税期間について、納付する消費税額を売上税額の3割とする「3割特例」が設けられています(国税庁)。
制度は改正されることがあるので、「昔の記事にこう書いてあったから」ではなく、実際に登録するときには国税庁の最新情報を確認することをおすすめします。
「会社員か個人事業主か」の二択にしなくてもいい
私はこれまで、会社員/個人事業主/会社員+FCオーナー/会社員+副業と、働き方を何度も変えてきました。
だからこそ思うのですが、独立するか、会社員になるかを最初から二択にしなくてもいいと思っています。会社員として安定した収入を持ちながら、個人事業を続けることもできます。私自身、会社員をしながら事務代行の仕事を副業で受けていた時期がありました。
「個人事業主になるなら、会社を辞めなきゃ」と考えている人には、こちらの記事でも私の経験をまとめています。▶ あわせて読みたい:会社員と個人事業主は両立できる?副業開業した私のリアルな始め方
インボイス登録は「必要になったら考える」でも遅くない
私は2022年11月にT番号を取得しました。結果的に、登録したことを後悔していません。法人との取引を続けるうえで余計な心配をする必要がなくなりましたし、登録やその後の経理も、想像していたほど大変ではありませんでした。
ただし、「個人事業主ならインボイス番号を持っていた方がいいよ!」と全員におすすめするかというと、それも違います。もし当時、取引先から求められていなかったら、私自身も登録していなかったと思うからです。
まずは、「そもそもインボイスは何のためにあるのか」「自分の取引先は法人なのか、個人なのか」「取引先から登録番号を求められているのか」「登録すると自分の消費税申告がどう変わるのか」を知る。そのうえで、自分の仕事に必要なら登録する。私自身の経験からは、それくらいの順番で十分だと思っています。
副業を始めると、開業届、青色申告、確定申告、インボイス……と、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。でも、一つひとつ調べてみると、意外と自分でできることも多いものです。私もインボイス登録前はかなり身構えていました。それでも実際にやってみたら、「思っていたより普通にできた」というのが、一番リアルな感想です。