副業先から、「うちに来ない?」と声をかけられた。そんなとき、あなたならどうしますか?副業と本業では、会社との関わり方も責任の重さも違います。
「副業としては楽しいけど、社員になるのはちょっと怖い」「今の会社を辞めてまで行く価値があるのかな?」そんなふうに迷う人もいると思います。実は私が今勤めている会社も、もともとは副業先でした。
副業として仕事を始めて、会社の中を見て、一緒に働く人を知って、最終的にはそこへ転職。結果として、給与は上がり、フルリモート・フルフレックスになり、仕事の裁量も増え、以前よりも充実した日々を送っています。
今回は、私がどうして副業先への転職を決めたのか。そして実際に副業をしていたからこそ見えた「転職先としての会社」について、私の体験談をお話しします。
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Toggle当時の私は「転職したい!」と思っていたわけではなかった
副業を始めた当時、私は別の会社で役員秘書として働いていました。
ただ、「秘書」といっても仕事内容は会社によってかなり違います。その前に勤めていた会社では、秘書業務だけでなく、経営企画や事業推進に近い仕事にも携わっていました。経営や事業に近いところで、「会社をどうしていくか」「この課題をどう解決するか」を考えて動く仕事です。
一方、当時勤めていた会社では、庶務・総務・雑務に近い仕事が中心。決められた業務をこなしていれば仕事は回るし、とりあえず会社に行けば毎月お給料はもらえる。正直、仕事としてはかなり楽でした。
人間関係も良いところ・悪いところの両方があったので、「今すぐこの会社を辞めたい!」というほどではありません。ただ、ずっと心の中にあったのが、「このままここにいて、私は成長できるんだろうか?」という感覚でした。
会社自体の成長もあまり感じられない。自分自身も、新しいことができるようになっている感覚がない。頑張ったからといって評価されるわけでもなく、むしろ給与が下がる可能性すらある。「楽ではある。でも、このままでいいんだっけ?」そんなモヤモヤを抱えていました。
「転職」ではなく「副業」で、自分の可能性を広げてみた
そんなとき、知人から紹介してもらったのが、現在勤めている会社での副業でした。
当時の私は、本業の会社を辞めるつもりで副業を探していたわけではありません。もう少し収入を増やしたいという気持ちもありましたが、それ以上に、「本業を続けながら、別の仕事をすることで自分の経験を広げられるかもしれない」と思ったんです。
転職となると、それまでの環境を手放す必要があります。でも、副業なら今の生活基盤を維持しながら、違う会社・違う仕事を経験できます。私にとって副業は、単なる「お小遣い稼ぎ」ではなく、自分を成長させるためのもう一つの場所でもありました。
そして実際に副業を始めてみると、これが思っていた以上に面白かったんです。
「この会社、ルールが何もない!」が不安でもあり、魅力でもあった
副業先は、当時まだ創業4年ほどのベンチャー企業でした。そこで感じたのが、「……この会社、ルールが全然ないぞ」ということ(笑)。
大企業や歴史のある会社と比べると、制度も仕組みもまだまだ発展途上。福利厚生や雇用に関するルールなど、従業員を守る仕組みについても、大企業ほど整っているわけではありません。これは、中小企業やベンチャー企業へ転職するうえで、今でも一つのリスクだと思っています。
でも面白いことに、私が「この会社、ちょっと危ないかも」と思ったポイントと、「この会社、面白いかも」と思ったポイントは、まったく同じでした。ルールがない。つまり、これから作れる。
会社に必要な仕組みを考える。ルールを作る。課題を見つけて、改善する。「これ、誰かがやったほうがいいよね」というものを拾って形にする。
それって、まさに私が得意としていたことでした。整っていない会社だからこそ、自分の経験や得意分野を活かせる余白がものすごく大きかったんです。
副業だったから、代表の「人に任せるスタイル」も見えた
もう一つ大きかったのが、代表との相性でした。一緒に仕事をしているうちに感じたのが、この人は「自分ですべてをやりたい」というタイプではなく、人に頼ったり、任せたりすることが上手な人なんだなということ。
「これをやってほしい」「ここは任せたい」と、人に仕事を渡すことができる。私自身は、自分で考えて動いたり、裁量を持って仕事をしたりするほうが好きです。だから、「この人の下なら、かなり自由にやらせてもらえそう」と思いました。
そして実際、会社にまだ整っていない部分が多いことと、代表が人に任せるタイプであること。この2つが組み合わさると、私にとってはかなり面白い環境になります。「ここなら、自分の得意なことを思い切り使えるかもしれない」そう思うようになりました。
副業先への転職で、実はそれほど迷わなかった
「副業先に転職する」と聞くと、大きな決断だったように見えるかもしれません。でも、振り返ってみると、私はそこまで迷っていませんでした。
もちろん、タイミングや給与については考えました。それまで勤めていた会社は、とにかく楽だったからです。決められた仕事をしていればいい。大きな責任を背負わなくてもいい。毎月決まった給与も入ってくる。
そこから、まだ会社として整っていないベンチャー企業へ行けば、当然やることは増えます。会社の規模も小さくなります。それでも転職したのは、条件を並べてみたときに、私にとってはメリットのほうが圧倒的に大きかったからです。
転職後は、
- 給与が上がる
- フルリモートになる
- フルフレックスになる
- 仕事の裁量が増える
- 自分の得意分野を活かせる
- 成長できる仕事に挑戦できる
と、働く環境が全体的に良くなることが見えていました。一方で、大きく変わるのは「会社の規模が小さくなる」ということくらい。だったら、行ってみよう。私にとっては、かなり自然な選択でした。
副業は「転職前のお試し期間」にもなる
今振り返って思うのは、副業から転職する最大のメリットは、入社する前に会社のリアルをかなり見られることです。
普通の転職活動では、面接で会社について知れる時間は限られています。求人票を読む。ホームページを見る。面接で何度か話す。それでも、実際のところは入社してみないと分かりません。
でも副業なら、
- この会社では、実際にどう仕事が進んでいるのか
- どんな人たちが働いているのか
- 上司や経営者はどういう人なのか
- 自分にどれくらい裁量があるのか
- 会社の良いところと危ないところはどこなのか
を、外側ではなく中に入って確認できます。 しかも、本業という生活基盤を残したまま。これは、転職先を見極める方法としてかなり強いと思っています。
会社側にとっても同じです。履歴書と数回の面接だけで採用するのではなく、実際に一緒に仕事をしたうえで、「この人ともっと働きたい」と思って社員として声をかけることができます。
副業から転職するというのは、働く側・会社側の両方にとって、かなり合理的な採用方法なのかもしれません。
「何かを犠牲にする転職」は、私は選ばない
私は仕事や転職について、一つ決めていることがあります。それは、何かと何かをトレードオフにしなければならないなら、無理に選ばないということです。
「やりがいは増えるけど、給与は大幅に下がる」「給与は上がるけど、働き方がものすごく不自由になる」「キャリアにはなるけど、生活を犠牲にしなければならない」
もちろん人生には、何かを優先するために何かを諦めなければならない場面もあります。でも少なくとも私は、全部が今より良くなる可能性があるなら、そちらを選びたい。
今回の転職もそうでした。給与が上がる。働き方も自由になる。裁量も増える。自分の得意なことも活かせる。そして、自分自身も成長できる。だったら、やってみよう。それが私が副業先への転職を決めた理由です。
副業先への転職は「あり」。でも、実際に働いたからこそ見えるものを大切に
副業先への転職は、私は十分「あり」だと思っています。むしろ副業で実際に働いているからこそ、普通の転職活動よりも会社との相性を判断しやすい場合もあります。ただし、「副業で楽しかったから」「社員にならない?と誘われたから」という理由だけで決める必要はありません。
会社の将来性。給与や働き方。福利厚生や雇用条件。経営者との相性。任される仕事。自分がそこで成長できるか。そして、その会社の弱点やリスクを自分自身が許容できるか。副業で中を見られるからこそ、良いところだけではなく、「危ないところ」までちゃんと見て決める。
私の場合は、会社の未整備さというリスクまで見たうえで、「それでもここなら、自分の力を活かせそう」と思えました。というより、その未整備さそのものが、私にとっては仕事の面白さでもありました。
転職は、「今より何かを我慢するため」にするものじゃなくてもいい。今より給与も、働き方も、仕事内容も、キャリアも良くなる。そんな選択肢があるなら、私はそっちに行きたい。そして、その選択肢を見つける方法の一つが、私にとっては副業だったのだと思います。